レッドブリテン・ライコネンインタビュー(2)

レッドブリテンに掲載されている、キミのインタビューの続きです。見開きで4ページにわたるロングインタビュー。うち1ページは丸ごと写真だけど。長いので、一気に訳すことができず、できた分からご紹介してます。

今回は、ラリーへの挑戦のことについてはもちろん、昨年のラリー・フィンランドでの横転事件や、お兄さんとその息子達のこと、F1キャリアでのことなどが話題になってます。

最初の部分は、こちらから。

kimi_redbulletin02 WRCへの参戦は、2000年にザウバーで初めてF1をテストドライブをしたときのような感じがする?
イエス。ヤング・キミが再び自分の中にいるようだよ。ワールドラリーカーは、去年ラリー・フィンランドで運転したS2000よりも速いし頑丈だ。運転するのは10倍いい感じだし、パワーもある。だからこそ、危機的な状況でも切り抜けられるんだ。ターボエンジン無しのフィアットで横向きになったら、ゲームオーバーだよ。

じゃあ、去年のフィンランドで車が横転した件は?
あれは、スピードを出しすぎたせいではないよ! 全然違うんだ。車はすでに壊れていたから、僕はただサービスパークまでたどり着きたいと思っていた。あのフィアットは、絶対にS2000クラスでは最速の車ではないし、安定した車でもない。左カーブへの進入ラインが多分2mずれていて、それで横転してしまったんだ。

なぜ、ラインを間違ったの?
僕は自分の目だけで運転していて、聞いていなかったんだ。だけど、ラリーではコ・ドライバーが言うことに100%注意を払わなきゃいけない。

それは、あなたがまだ学習しなきゃいけないこと?
そうだね。ドライビングそのものは、それほど大きな問題じゃないはずだ。スペシャルステージのことを知っていれば、普通はほとんど違いはないんだ。差を生むのは、ペースノート(ラリーにおいて、各ステージの道のコンディションを記録したコ・ドライバーのノート)と、信頼なんだ。それが、僕の主なディスアドバンテージだ。僕は北極圏ラリーと、ラリー・フィンランドしか知らない。自分自身のために、ほかのイベントについても学んでるところだよ。

ほかの人のペースノートを使うことはできる?
自分のペースノートを持っていたほうがいいよ。本当に速く走りたいなら、信頼できるものが必要だ。ほかの人のノートでは、完全には信頼できないよ。

ほかの人が通った跡をついていくのは、助けになる?
ノー。前にいる車がやったことから学ぶものなんて、絶対にないよ。コ・ドライバーが言うことをすべきだ。

最初に車で横転したのはいつ?
14歳のときだよ。兄のラーダで横転してしまったんだ。家の近くに、3kmのトラックがあった。マーカス・グロンホルム(2度のWRCチャンピオンを獲得したフィンランド人)も、そこで練習したんだ。ロールバー(車の内部を補強する金属棒)も壊れてしまった。

お兄さんのラミは、素晴らしいラリーの才能を持っていたよね。彼はまだ運転している?
いいや。彼は、今ではマイホームパパなんだ。ある年、彼はミッコ・ヒルボネン(2008年と2009年のWRCチャンピオンシップ2位)に次いで2番手になったことがある。

あなたの甥っ子は、モータースポーツ病にかかってる?
確実に! 甥っ子達はまだ3歳と4歳なのに、もうカートを始めてるんだ。僕は彼らに四輪バイクを買ってあげたよ。

あなたは良いコ・ドライバー?
ノー。1度、トミ・マキネン(4度のWRCチャンピオン)のコ・ドライバーをやったことがあるんだ。彼に完全な信頼を置いていたけど、あの経験はもうしたくないよ。多分、テストではローブの隣に座るだろう。彼が僕のために同じようにやってくれるとは思わないけど。

来年も、何回か横転すると思う?
もちろん。WRCでコースをオーバーすると、バウンドして2~3回ぶつかるんだ。このスポーツでは、誰だってミスをするし、概して、ミスをすれば車を壊してしまう。ヤリ-マティ・ラトバラ(WRCウィナー)とヒルボネンが、WRCで初勝利をおさめる前に、何台の車を壊さなければいけなかっただろう? 転がってないドライバーはローブだけだ。彼は例外だよ。

ターマックとグラベルでは、どの路面が好み?
僕は、グラベルでもすごく速かったよ。だけど、ターマックが僕の得意とするところだろうね。雪が一番難しい。雪上ではラインをぴったり揃えなきゃいけない。ターマックでは、ブレーキが1メートル遅れても大事には至らないけど。それに、カーブもより厳しいよ。グラベルでは路面を読み取らなきゃいけない。ラリータイヤでビックリするくらいグリップが得られるタイプのグラベルもあるし、そうじゃないときもある。

どんな結果を期待してる?
最初の数戦はタフなものになるだろう。ほかのドライバーがどれくらい速いかわかるまで、個人的な予測は控えておくよ。トップ4(ローブ、ダニ・ソルド、ヒルボネン、ラトバラ)に追いつこうとはしないよ。セバスチャン・ローブがF1で走ったらセバスチャン・フェッテルより速いなんて思う人はいないだろう?

チームメイトのセバスチャン・オジェも、将来のスターと思われてるけど。
ああ。彼は本当にいいドライバーだ。彼は目標とすべき完璧な基準だよ。

あなたのF1キャリアを振り返ったとき、何よりも価値があると思う瞬間があった?
F1では、どのラップも大体同じなんだ。雨が降ると、難しくなる。だけど、そうでなければ、すぐにお決まりのパターンになるんだ。ラリーでは、全部のコーナーや丘が予想とは違うかもしれない。ここ数年で一番楽しかったのは、友人達とスノースクーターをふざけて乗り回したときだよ。過去9年間から、ある瞬間を選ぶのは難しいよ。

じゃあ、こういうことにするのはどうかな? キミ・ライコネンは2005年日本グランプリの最終ラップ、鈴鹿のアウトサイドからジャンカルロ・フィジケラをオーバーテイクし、レースに勝った。

ああ。あれは本当に素晴らしかった。

負傷したフェリペ・マッサの代役となったジャンカルロ・フィジケラがどれほど苦闘していたかを見れば、2009年のフェラーリが本当に運転しづらい車だったのは間違いないよね。ルカ・バドエル(フェラーリのテスト・ドライバー)については、言うまでもなく。
あの車は、悪くはなかった。十分なグリップがなかっただけなんだ。運転しづらかったけど、08年の車よりは、09年のフェラーリのほうが好きだったよ。僕はそうひどく大変だったわけじゃないけど(ライコネンは2009年ベルギーGPで勝った)、フィジケラはあの車のせいで、2戦で10歳は年を取っただろうね!

正しくバランスが取れた車が得られない場合、オーバーステアかアンダーステア、どっちが好み(車は、大体フロント/リアグリップがあるとする)?
僕は、アンダーステアを好んだことは決してない。車がどう進むかわからなかったら、どうやってプッシュできるんだい? サーキットならタイムを失うし、ラリーではランオフエリアがないから木に突っ込むことになるだろう。

続く・・・

レッドブリテン・ライコネンインタビュー(3)

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ラリ-・フィンランドでのペイズリー号横転事件はこちらのエントリーをどうぞ。
ラリーフィンランド、キミのクラッシュ詳細(動画付き) | @Kimi
ラリー・フィンランドもろもろ動画&写真 | @Kimi

あのドンガラガッシャン事件の原因は、要するにコ・ドラのカイさんの言うことを聞いてなかったと。おいおい。その前にも、寝てて道を間違ったこともあっただろ! まぁ、そんなミスをしでかすのが、我らがキミなわけで(ヽ’ω`)

でもお正月休み返上でラリーの練習してたくらいだから、きっと今年はそんな凡ミスはないでしょう(期待)。インタビューで言ってるけど、テストではローブ(シトロエン親チームのエースドライバー。6年連続WRCチャンピオン)の隣に座って勉強するのかな。でも、マキネンと同じようにはやってくれないと読んでるところ。そりゃそうだろうなぁ。ローブだもん。

F1キャリアの9年間を振り返ってって言ってるのに、スノースクーターを乗り回したのが一番楽しかったって。orz ワールドチャンピオンを獲得したときとか、色々あるだろうがよ!
もう、ツッコミどころ満載なインタビューですね。

フィジケラさん、キミの目からみてもだいぶ苦労してたみたいですね。2戦で10歳年取ったって。ひどいw

インタビューは、あと1ページ分で終わりです~。
ちなみに、このインタビューの一部がF1Gateさんに掲載されてます。
キミ・ライコネン:インタビュー 「モナコGPは観にいくかもね」 【 F1-Gate.com 】

が、結構省略されてるうえに、誤訳と思われる部分も・・・
(私のも誤訳あるかもなので、人のことは言えないわけですが^^;)。

ところで、F1通信さんに出ているライコネン 「たぶんモナコGPでF1のコックピットに座れそうだ」という記事も、このレッドブリテンのインタビューから抜粋したmotorsport.comの記事の翻訳なんですが、このタイトルだと、モナコGPでキミがF1復帰するような誤解が!

この受け答えは、次回お届けする部分に入っているのですが、「F1に出ないときはどうするの?」と聞かれて、「テレビで見るよ。モナコGPは多分行くかも。いつだって、F1をドライブしようすればできたんだ」と答えたところに尾ひれがついてしまったようです。レッドブリテンの原文を読むと、「I could get an F1 drive again any time」となってます。mortorsport.comの記事でも、「I would get another F1 cockpit」と書かれています。「望めばF1をドライブできたんだけどね(でもそうならなかった)」、あるいは「F1をドライブしようと思えばできるんだよ(やらないけどね)」ということじゃないかと。
しかも、レッドブリテンのインタビューでは、その後、「でもF1では良くないことがたくさん起きてるしね・・・」と続きますので・・・。残念ですが、今年のモナコGPは、キミは単に見に来るだけだと思います。

原文(英語)は、レッドブリテンのサイトで

キミのインタビュー記事だけなら、英語の原文がここ↓
The Red Bulletin – Goodbye F1, Hello WRC

ウェブマガジン版には、ほかの写真も載っているので、ぜひ見てみてください。
キミのインタビューは42ページから。
↓こちら
The Red Bulletin -Magazine Archive

この写真の号です。

PDFもダウンロードできますが、現在PDFへのリンクをクリックすると、エラーになります。サイト制作者のリンクミスで、URLに余分なスペースが入ってるせいです。
↓これが正しいPDFへのリンクです。
http://en.redbulletin.com/fileadmin/mag/LR_RedBulletin_UK0110_AIO.pdf

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コメント / トラックバック 3 件

  1. iceman より:

    あけましておめでとうございます。

    ことしもよろしくお願いします。

    うーん・・・・キミはもう帰ってこないんじゃ・・・

    ラリー好きなんだなぁ。

    F1に帰るなら2011年と思いますが、この調子じゃ一年で帰ってくる気配無いですね。

    F1にはミハエルが復帰したので、また興味を持つことができました。

    WRCも今年は興味をもって情報収集できます。ぜんぜんいつやるのかもわからないが。

    キミにはWRCでも勝ってほしい。でもキミに100%フィットする環境であって欲しくない・・・

    複雑な心境です。

  2. ぢーま より:

    あけましておめでとうございます!!

    翻訳ご苦労様です!!
    楽しく読ませてもらいました!!!

    ん・・・・F1には帰ってこなさそうな雰囲気満載ですが・・・
    ラリー始めたてなので、ラリーのことで頭いっぱいなんでしょうね~

    WRCでもチャンピオン獲ったらスゴイっすよねー

    後半も楽しみに待ってます!!

  3. yukarin より:

    >icemanさん
    あけましておめでとうございます。このインタビューでは、キミの心はすっかりラリーに切り替わってるようですよね。F1に戻ってきてほしいけど、戻ってくる気ないんじゃ?と感じます。
    私も、複雑な心境です。キミファンではあるけど、同時にF1のファンなので。私はWRCではペター・ソルベルグのファンなのです。キミがWRCでペター以上におもしろい走りをしてくれるかなー。きっとしてくれると思うけど・・・。

    >ぢーまさん
    あけましておめでとうございます。
    お正月休み返上でラリーの練習をしてたそうなので、頭はすっかりラリーのことだけ!状態なのでしょうね~。
    WRCとF1の両タイトルを取ったら、間違いなく歴史に名をとどめますし。それはそれで期待したいところなんですけど。。。
    インタビューの続きでは、キミ自身も両タイトルを取ることに興味津々みたいですし。続きもアップしましたので、見てみてくださーい。

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