スコールを当て込んで大外れのフェラーリとグロックが超賢かった件(マレーシアGP決勝)

2009年F1グランプリ » この記事

いやはや、フェラーリ。「どうしちゃったの?」 というか、「またやってくれちゃって」と言うべきか・・・。フェラーリが最近ギャンブルに出て、うまく行ったことってありましたっけ? 今回もお粗末さまでした。

マレーシアGP観戦は、なんのかんので4年連続4度目でした。が、今年は例年と違って、予選・決勝のスタート時刻が17時。これは、アジアで普通の時間にレースを行うと、ヨーロッパでは早朝の時間帯になってしまうので、テレビの視聴率をアップさせて金儲けを目論んだバーニーが、ナイトレースを強要したためです。ただでさえ、チケットが飛ぶように売れてるとは全く持って言い難いマレーシア。ナイト用の照明を付けるお金などない。

しかし、マレーシアGPは国営の石油会社ペトロナスの肝いりでやっているグランプリで、東南アジアで初のF1開催国の威信に賭けて、開催ナシにはしたくない。

そこで出た折衷案が、17時スタート。オーストラリアGPも同じく17時スタートとなりました。オセアニアもアジアと時差がほぼないですから。

が、マレーシアがオーストラリアと違う点。

スコールですよ。

スコールというのは、熱帯特有の、突然やって来て局地的に降り、短時間でまたカラリと晴れる雨のことです。わたしは南の島大好き人間なので、スコールにはちょっと詳しいです(笑)。

熱帯のマレーシアには日本のような四季はありません。乾期か雨期か。この時期は気温が高い乾期です。冗談で、マレーシアの季節は4つだけーー1.hot、2.very hot、3.rain、4.hevy rain、なんて言いますが。

朝~昼すぎまで日差しがとても強く、地上の水蒸気が熱せられて上昇気流になり、どんどん雲ができます。大気中の水分飽和量が限界を超えると、雨になります。 この時期、クアラルンプールでは、夕方に強いスコールが局地的に降ります。毎日こんな天気です。

マレーシアの気候を考えれば、17時スタートにすればスコールにやられることはみんな予想してたけど、実際どうなるのかは、やってみないとわからなかった。で、やってみたら、こうなった。わたしも途中でスコールが来たら、赤旗中断で2時間レースになるんじゃ?なんてチラリと考えたけど、その通りになるとは。

まあ、バーニーも今回のことでマレーシアの17時スタートは無理ということが身にしみてると思います(全然身にしみてませんでした・・・むしろ視聴率UPで大成功とか言ってるし。おい!!)

一昨年の富士ですら赤旗にならなかっったのに、と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、富士の雨って、集中豪雨のような雨ではなく、普通の雨でした(道路が陥没したのは簡易舗装があまりにもお粗末だったせい)。
スコールはバケツをひっくり返したようなすごい雨量です。2007年のヨーロッパGP(F1ホイホイ&ハミルトンだけクレーンでつり上げ事件)のような感じ。さらにマレーシアの場合、夕方に降って、その後日が暮れて暗くなります。

で、問題のキミのタイヤ選択です。

帰ってきてから、CSの録画を見たら、雨の状況とタイヤのことで放送で間違ってた部分があったので、説明します。

その前に確認。今年はドライタイヤが溝なしのスリックタイヤに。雨用のタイヤには、浅溝の「インターミディエイト」と、より強い雨用に、深溝の「ウェット」タイヤがあります。

スコールは、いわゆる普通の雨と違い、降り始めたら一気に本降りになるのが普通。そこで、みんな雨が降り始めたら、深溝のウェットを選択しました。ところが、皆の予想に反して、なぜかこの日は雨脚がなかなか強まらなかったのです。

フェラーリは、さらにギャンブルに出て、まだ雨も降ってないうちからキミに深溝のウェットを履かせてしまいました。

キミがウェットタイヤに替えたとき、現地は雲が立ちこめていて、時折雷が光っていて、確かにまもなく雨が来ることは明らかでしたが、まだ雨は降ってませんでした。ピットストップでウェットタイヤを付けてるキミがスクリーンに映ったとき、「え!?それは早すぎる」とビックリしました。雨がポツポツ落ち始めるで、数分ありました。

さらに悪いことに、なぜかそのときだけ、雨粒が落ち始めてから本格的に降り始めるまで、いつもより時間がかかりました。やっぱり今回もついていないフェラーリ&キミ・・・orz。 ちなみに、日曜に限って、2時頃にも1回軽くスコールが来てました。それが関係あるのかどうかは定かではないです。

雨が降り始めてみんながウェットに履き替えたとき、実は浅溝のインターミディエイトを選んだ人も少数いました。グロックとベッテル(他にもいるかは不明)です。

雨がなかなか強くならないので、ウェットを履いた人達はタイムが伸びません。グロックはスタート直後の1コーナーで順位を落としていたのですが、雨の後、インターミディエイトを履いてどんどんポジションを上げていきます。ちなみに、グロックのコメントによると、グロック自身がインターミディエイトで行こうと言ったそうです。

川井ちゃんは「画面ではそう見えないけど、ペースが2分超えているから雨が相当強い」というふうに言いました。今宮さんは「そうですね。グロックが1分53秒台ですね」と答えてましたが。今宮さん、グロックのタイムを見ているなら、なぜグロックがウェットじゃなくてインターミディエイトなことに気付かないの? まあ、それが今宮さんなんだけど。川井ちゃんの言ったことが間違いで、雨が強いから遅いのではなく、雨が強くないのに深溝だったから遅かったのです。なので、浅溝のグロックが他の車より10秒以上速かったわけです。

さらに「これ、画面で見てるとインターミディエイトで走れるんじゃ?」 とか「ベッテルがインターミディエイト」と言ってましたが、グロックもすでにインターミディエイトで走っていて、どんどんポジション上げてました(その後、みんながウェットでタイムが上がらないので、インターミディエイトにチェンジしはじめた頃に、「これ・・・グロックはインターなんでしょうね」とポツリと言ってましたが)。

その後、雨が強くなってグロックもウェットに替えたのですが、川井ちゃんは「グロックもウェットに戻しますね」と解説してました。が、元々グロックはウェット履いてないです。

他の人達のタイヤ選択
1回目 ドライのソフトタイヤ→ソフトタイヤ
2回目 雨が降り始めたので、ウェットにチェンジ
3回目 ウェットでタイムが伸びないので、インターミディエイトにチェンジ
4回目 と思ったら雨が強くなってきたので、再度ウェットに</Pこの後、赤旗中断。< p>

グロックの場合
1回目 ドライのソフトタイヤ→ソフトタイヤ(みんなと同じ)
2回目 みんながウェットに替えるなか、インターミディエイトを選択。この後、どんどんポジションUP
3回目 雨が強くなってきたので、ウェットにチェンジ

と、ピットストップは3回です。

ちなみに、2位に入ったニックはピットストップ1回です。予選でQ2脱落だったので、燃料をかなり積んでました。で、雨がふってきたところで当初の予定より早くピットインしてウェットに。小雨なのでウェットだとつらいけど、インターミディエイトに交換せず、そのままがんばって、赤旗中断→2位GET。ウェットでタイムが上がらなかった他のドライバーたちがインターミディエイトに変えたものの、やっぱり雨が本降りになってウェットタイヤに戻すため何度もピットに入っていた中、1回のストップですませて順位をあげたわけです。

ちなみに、インターミディエイトのままとどまったベッテルは、その後残念ながらアクアプレーニングが起きてクラッシュしてしまったので、グロックがウェットにチェンジしたタイミングもドンぴしゃだったのでしょう。

---

キミはいつもチームのことを悪く言うことはないし、オーストラリアでもフェラーリのタイヤ選択が裏目に出たときでも、キミはチームは正しい判断だったと擁護してるのに、今回は「チームのミス」と言ってるあたり、相当怒ってるのか!?

しかし、刻々と変わるトラックの状況を一番わかってるのはドライバーなので、キミもあの段階でウェットを拒否することはできたのでは、と思いますが。

結局は、フェラーリがあんなギャンブルをしなきゃいけなかったのは、まっとうな方法ではポジションアップが望めないほど、速さがなかったってことなんですよね。本来、ギャンブルっていうのは、 「失う物は何もないから、いっちょやったるか」という2流以下チームがやるべきものでは。さきほど2007年ヨーロッパGPのような雨という話をしましたが、あのとき、どうせ最後尾だしとピットスタートでウェットタイヤで出たスパイカーのヴィンケルホックのようなのが、まさにギャンブル。あれは抜群にうまくいって、スパイカーが数周にわたってラップリーダーとなり、ヴィンケルホックは1戦だけのスポット参戦ながら、人々の記憶にとどまることになりましたね。

とにかく、開幕2連戦では車に十分な速さがなかったけど、速さを取り戻してくれるよう、フェラーリの開発力に期待するばかりです。

今回、ひよって軽くて暗いレンズ1本オンリーだったので、日曜のレースはISO1600とか2000で撮ってました。写真ザラザラ・・・orz。 ほかの写真、整理できたらアップしますね。

↓とりあえず、ドライバーズ・パレード

4/7追記 タイトル、修正しました。

同じタグの記事も併せてどうぞ!

タグ: , ,

コメント / トラックバック 5 件

  1. yokunaiwai より:

    エクストレムは2週しかもたないしねー。

  2. yukarin より:

    >yokunaiwaiさん
    いつもコメントありがとうございます。
    フェラーリは2,3分後には雨が来ると読んだようですが、全然外れ。あんなに「早くスコール来て!」と願ったのは初めてでした。フェラーリ、どうしてこんなことに。。。
    中国では勝ってくれー! 祈

  3. yokunaiwai より:

    あのね。DRYの柔らかいいコンパウンドよりWETの硬いほうが大幅に硬い事に問題がありそうで。そうなると勘違いするだろう。硬いから大丈夫と勘違いするだろう。そうなるとドライバー(キミはレーサー、ハミルトンもレーサー、しかしマッサはドライバー)は混乱すると思います。ちょっと話は違いますがラリーではスティグブロンキスト、F-1ではロニー・ピーターソンが好きなんですが私のヘルメットはピーターソンまんまです。もうちょっと言えばライコネンはスタッドレスで走ったと思えばいいでしょう。浜島なにをやっとんねん。ダンロップの京極部長はそんなことしなかったぞ。

  4. yokunaiwai より:

    もうちょっと言えばやはり石橋タイヤはねとっとするフィーリングがあるのね。(私は回し物ではないですよ)ダンロップはRUFが使っているようにニブリング(直進安定性)に重きを置いている。近頃高性能4wDでグリップ力重視なんだがやはりクルマにはサラーっとしたフィーリング  大事だと思います。

  5. yukarin より:

    >yokunaiwaiさん
    詳しいコメント、ありがとうございます。勉強になります。
    WETタイヤの堅さも問題なのですね…。
    なるほど。キミはスタッドレスでドライのトラックを走ったようなものなんですね。そりゃすぐにダメになってしまいますね。
    ブリヂストンのワンメイクになった影響が、色々と出てしまっているのですね。滅多に文句を言わないキミも、ブリヂストンタイヤについては割と不満漏らしてますし…。浜島さん、なんとかしてください 祈

アーカイブ